犬のクッシング症候群は完治するのか?治療費と余命について!


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副腎皮質ホルモンの過剰分泌によって引き起こされる症状の総称をクッシング症候群と呼んでいますが、もし愛犬が発症した場合、余命はどれくらいで、完治はするのか、また治療費はどれくらいかかるのか、不安も多いと思います。

そこで、今回は犬のクッシング症候群は完治するのかや、治療費と余命について紹介します。

クッシング症候群とは


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クッシング症候群とは別名副腎皮質機能亢進症とも呼ばれていて、腎臓の上にある副腎という臓器の中の、副腎脂質という分泌物が、なんらかの原因で異常に分泌されてしまう状態になり起こる病気です。

あまり耳にしない病気ではありますが、自然とかかってしまうものから飲んでいる薬などが原因でかかってしまう場合など、様々な原因があります。

副腎皮質ホルモンは一般的にステロイドと言われるもので、病院で処方されたことがある人も多いのではないでしょうか。

ステロイドホルモンを薬として使用すると、体の中の炎症を抑えたり、体の免疫力を抑制したりする作用があり、さまざまな疾患の治療に使われていますが、副作用も多いことが有名です。

そして、このクッシング症候群の症状もステロイドの副作用と共通する部分が多いです。

副作用の危ないステロイドが体の中で過剰に作られていると言えば、何となくイメージが作れますでしょうか。

昔飼っていた亡くなった我が家の愛犬もクッシング症候群と診断されました。

症状

それではいくつか症状を紹介したいと思います。

多飲・多尿

クッシング症候群になると、水をたくさん飲んだり、食事を多くとるようになったりします。

また、おしっこがたくさん出るようになるのですがポイントは体重が増えていかないことです。

むしろ体重が落ち、やせ細っていく傾向にあるようです。

我が家の愛犬はなぜか多飲・多尿の症状が出ていなかったため、クッシング症候群の診断が少し遅れました。

中には多飲・多尿が発生しない個体もいるそうですが、しかし、クッシング症候群かどうかの指標に最も利用される症状が多飲・多尿となりますので、この症状が出ている場合はクッシング症候群の可能性が非常に高いです。

おなかが膨れる

食べる量が増えるのに体全体がやせていくクッシング症候群ですが、お腹だけがぽっこりと膨れてくるのが特徴です。

お腹が膨れてくる原因としては、副腎に腫瘍ができ、それが大きくなっていることによって膨れているということが考えられます。

毛艶が悪くなり、胴体が左右対称に脱毛する

副腎皮質の異常分泌によって、ホルモン異常や甲状腺異常を併発してしまい、その結果、毛艶が悪くなったり、体全体の毛が薄くなる症状や、胴体の毛が左右対称に抜けてしまうなどの症状があらわれます。

寝てばかりになる

クッシング症候群になりやすいのは8歳~12歳の老犬が多いと言われています。

そのため、寝てばかりいる犬に対して「寝てばかりで年をとったんだな」と思ってしまう飼い主も多くいます。

しかしそれはクッシング症候群のサインである可能性があるのです。

最近寝ている時間が多くなったなと感じる場合は、獣医師の診断を受けてみてもよいでしょう。

糖尿病の併発

副腎皮質ホルモンが慢性的に過剰分泌されてしまうと、肝臓におけるグルコースの生成も促進されてしまい、高血糖を引き起こしてしまいます。

この流れから糖尿病を併発してしまう恐れがあるのです。

治療法と完治の可能性

難しい病気に思えるクッシング症候群ですが、実際に発症した場合の一般的な治療法と完治の可能性についてご紹介します。

内科的治療

副腎皮質から分泌されるコルチゾールがクッシング症候群の原因となるので、このコルチゾールを分泌する細胞を部分的にたたいてくれる薬剤を投与して、分泌量を最低限に抑えるという治療があります。

この細胞を叩く量が重要で、多く叩いてしまうと通常の生活に影響が出てしまうし、叩く量が少ないと再発してしまいます。

もう一つはコルチゾールの分泌をコントロールする薬剤を投与するという方法がありますが、安全性は高いものの、一生涯にわたって投与し続ける必要があり、負担がかかります。

完治を目指すというよりも、コルチゾールの分泌をみながらコントロールするという治療を一生続けていかなければならない場合が多いです。

ただ、逆に言うとコントロールができるということです。

この記事に、「クッシング症候群 余命」などのキーワードでたどり着いた方が多く、クッシング症候群になったから死んでしまうのではないかと心配になっている方が多いのではないかと思います。

ただ、覚えておいてほしいのが、基本的にクッシング症候群で死ぬわけではないということです。

これは私が実際に獣医さんに言われたことなんですが、クッシング症候群はあくまでもホルモンが過剰分泌されてしまうだけで、問題なのはホルモンが過剰分泌されたせいで、様々な病気を併発してしまう恐れがあるということです。

先ほど紹介したように糖尿病を併発したり、血栓によって突然死をしたりと、クッシング症候群をきっかけに発症した病気で死に至る場合がほとんで、クッシング症候群だから亡くなったという場合は基本的にないということです。

もちろん病気なので、あまり断定的なことは言えませんが、私自身獣医さんから言われたその言葉を信じてここまでやってきています。

実際に我が家の愛犬は、投薬治療を始めてから、非常に調子が良くなり、ホルモンのコントロールさえしていれば健康なんだなというのを痛感したものです。

外科的治療

脳下垂体や副腎に腫瘍が認められる場合には、その場所や状態によって切除手術が行われます。

我が家の愛犬の場合は副腎に腫瘍があったのですが、血管や神経と同化してしまい切除の手術ができないと言われたので、亡くなるまで腫瘍は取らずに様子見状態が続いていました。

腫瘍が見つかって、亡くなるまで数年間、結局運が良いことに腫瘍は大きくなりませんでしたので、おそらく良性だったのだろうと言われました。

副腎の腫瘍が良性の場合は、切除手術によって完治の例も見られますが、悪性腫瘍の場合は転移する、あるいは転移している可能性が高く、切除が難しい場合が多いです。

要するに悪性腫瘍とは早い話がガンです。

ガンは人間と同じで、切除をしたとしてもその予後は悪いと言われています。

余命という意味では、単純にクッシング症候群だけであればコルチゾールのコントロールでどうにかできますが、腫瘍が悪性だった場合は転移の問題などもあり、良性腫瘍を切除する以外は、残念ながら完治が難しく余命が短い場合も多いようです。

腫瘍ができる位置として副腎以外に脳下垂体にできる場合があります。

ただし脳下垂体の手術はとても難しいため、ごく限られた病院でしか手術を受けることができません。

そもそも、脳下垂体に腫瘍があるかどうかはCTを撮らないと分からないため、検査をするだけで10万円以上の費用がかかる上に、犬のCTは全身麻酔になるので、老犬の場合は麻酔のリスクがつきまといます。

当時、発症していたクッシング症候群の原因が脳下垂体の可能性もあったのですが、年齢的に全身麻酔ができなかったため、結局CTは受けれないと言われていました。

獣医さん的には、我が家の愛犬の場合は副腎の腫瘍が良性の可能性が高かったため、リスクを考えたときにそういう判断になったのだと思います。

そのため、今でも、直接的な原因が副腎の腫瘍なのか脳下垂体なのかは不明という状態です。

ただ、脳下垂体にできた腫瘍は良性腫瘍が多いので、外科的手術や投薬、放射線などの治療法が選択され、摘出することで改善される場合が多いです。

一方で、副腎にできた腫瘍の場合は悪性腫瘍がほとんどのため摘出手術は必須ですが、すでに多臓器に転移が見られる場合は手術が不可能なこともあり、死に至りますので、腫瘍が良性か悪性かで余命は大きく違ってくるものと考えられます。

治療費について


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クッシング症候群になった場合の治療費ですが、まずは診断前の検査、発症が認められた場合の薬代と分けてご紹介します。

検査費用

クッシング症候群と疑われる場合、通常状態で血液検査をして、刺激を与えた後に再度血液検査をするというように、複数回の血液検査が必要となります。

私の通っている病院では午前中に預けて午後には戻ってきたので、日帰りのような感じでしたが、病院によっては2~3日入院して複数回血液検査をする場合もあるようです。

それ以外にも副腎に腫瘍がないかを確かめるため、超音波検査やレントゲン検査など必要に応じて行うため、診断確定準備の段階で平均して4~5万円の費用がかかります。

犬種や犬の大きさによって入院費用は変わるので多少違ってきますが、5万円はかかると思ってよいでしょう。

私の通っている病院は地域でも安いと有名な病院だったので、3万円ほどで収まりましたが、クッシング症候群と確定した場合は、数値が安定するまで何度も検査をして数値を確かめますので、この費用負担が1ヶ月~2ヶ月に1回のペースでやってきます。

数値が安定してしまえばそこまで頻度は高くないですが、それでも数ヶ月に1度はやはり定期的にこの検査し続けていく必要があります。

発症後の薬代

ホルモン分泌を抑える薬は、1錠1000~1500円程度です。

平均すると、小型犬で月に2万円、中型犬で5万円、大型犬で6万円ほどと言われています。

我が家の愛犬の場合は安く収まっていましたが、それでも毎月1万円はかかっていました。

そしてクッシング症候群の場合は飲む薬にもよりますが、基本的に薬を飲み続けながらコルチゾールの数値を調整していくという治療法になる場合が多く、この薬代は死ぬまで生涯かかり続けると思って良いでしょう。

我が家の愛犬が飲んでいた薬については別で記事にしました。

治療費をまとめると、検査のある月は病院にもよりますが3万~5万円前後かかり、検査がなくても薬代で毎月ランニングで2万~5万円ほどかかります。

また、腫瘍が認められた場合の手術代はだいたい10万~15万円くらいですので、クッシング症候群になった場合の金銭的負担はかなり大きいと思います。

まとめ

  • クッシング症候群はホルモン病の一種
  • 薬を飲み続けながら数値をコントロールする
  • 悪性腫瘍の場合はガンのため転移の恐れがある
  • 薬事療法はとにかくお金がかかる

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